中学受験において、もしもYes、と思うものがありましたら、チェックを入れてみてください。
- Q1.勉強しているとき、真剣味が足りないと思うことがありますか?
- Q2.偏差値50は普通ですか?
- Q3.睡眠時間を削って学習することは効果的ですか?
- Q4.テストでは点数をみて評価しますか?
- Q5.教科書の大事なところはしっかりマーカーを引いていますか?
確かに、状況や時期によっては正しいです。
しかし、いつでも絶対に正しいわけではない、ということを親側が理解しておくことが大切です。
たとえば、雑誌や書籍、テレビやユーチューブなどで「科学的に正しいとされる勉強法」というのを見聞きされたことはありますでしょうか?昔は正しいとされた学習法で、現在は間違っている、というか、効果的ではない、とされる学習法もあります。また、学習を支える睡眠、食事などの生活面でも、科学的な見地から、学習への悪影響があるため、間違っているとされるものもあります。
もしも、お子様の学習の第一のサポーターであるおうちの人が、間違った、古い情報だけを持っていたら、お子様がどんなに頑張っても成果が出ない、ということになってしまうかもしれません。
今回は中学受験をサポートされるお家の人向けに、情報をアップデートして、より的確なサポートをするため、上記のチェックリストを利用して、参考となる情報をお伝えしていこうと思います。
Q1.勉強しているとき、真剣味が足りないと思うことがありますか?
A.12歳である、ということを踏まえ休憩時間をコントロールしましょう。
中学受験をする12歳、また受験準備をはじめる10歳くらいの子どもたちは、自分で学習をマネジメントするには幼すぎますし、殆どの場合、保護者のサポートによって学習を進めていくと思います。「真剣味」を感じられないときも多いことと思います。
その際、おうちの人が大学受験の経験をもとにお子様を見てしまうのは、親子ともども危険です。
大学受験の勉強は、18歳というほぼ大人の考え方ができていて、なおかつ体力もある状態でのことです。12歳と18歳で、同じ時間学習しなさい、といった場合、同等にがんばれますでしょうか?難しいかもしれませんね。
しかし、この年齢差を踏まえずに親側が一方的に「真剣味が足りない」と判断してしまうと、一生懸命やっているお子様は評価されませんし、見守っている親側もいらいらしてしまうかもしれません。
お説教タイムが始まる分だけ勉強する時間が減りますし、気持ちも下がります。
なので、親側はしっかりした情報を身につけ、12歳というお子様の学習をサポートしていくことが重要になってきます。
また、「全く集中していないじゃないか!」と思うことはありませんか?しかし人間の集中力はそれくらいしか持たないとも言われています。
脳科学者の池谷裕二教授の見解を読みますと、以下のような短時間で休憩を挟んだ学習が良いとされています。
英単語を学習した中学生のテスト結果について、池谷教授は論文で「グループ間のテストスコアを見てみると、翌日には『15分×3(計45分)学習』グループが『60分学習』グループを抜き、1週間後にはさらに差が広がりました。この結果から、休憩時間を挟んだ『15分×3(計45分)学習』グループの方が長期的な記憶固定には有効である可能性があります」と記しています。
朝日新聞Digital 勉強時間は短い方が好成績?
上記の短時間での集中と休憩は、一見大人からすると「不真面目」に見えるかもしれません。
集中には休憩が必要です。
子どもは長時間集中することができないので、やるべきことは5分から10分くらいでできそうな分量に小分けにするのがコツです。そしてゲームっぽく、ストップウォッチを使って「ヨーイドン」と始めます。
Diamond online 子どもの「集中力」を今スグ上げられる5大方法
イタリア出身のコンサルタント、フランチェスコ・シリロは、仕事や勉強、家事などを25分間続けた後に5分の休憩をとり、そのサイクルを最大4回続けるという時間管理術「ポモドーロ・テクニック」を編み出しました。シリロは、この「25分+5分」が人間にとって最大限の生産性と効率性を引き出せるベストなバランスだといっています。
ポモドーロで学習管理をしていくのが良いでしょう。
また、こちらの記事のように様々な「仕掛け」を用意して集中できる仕掛けを作ることが大切です。
Q2.偏差値50は普通ですか?
A.偏差値50は「普通」より上であることを忘れないようにしましょう。
日本の中学受験の割合は2割ほどです。(インターエデュ TOP編集部がお届けする最新情報「エデュナビ」【森上教育研究所】 データで分かる!最新中学受験情報2019年入試、中学受験比率はどうなる?)
つまり、中学受験をする「上位2割のなかの偏差値50」ということを忘れないようにしましょう。(図1)
たしかに偏差値で現在の学力がどのあたりかを知ることは大切なことです。偏差値を考慮せずに志望校選びをすることはできません。しかし、志望校を設定してからは、その志望校に対しての偏差値を目安にテスト結果を分析していくことが大切です。
たとえば、合格の目安となる偏差値が、60の学校、50の学校、40の学校では、お子様が目指す学習の到達点はそれぞれ異なります。それを踏まえずに、とにかく偏差値50より上か下か、という捉え方になりますと、テストを分析して問題点の発見・改善をするべきなのに、出てきた結果の数字だけに一喜一憂(場合によっては長い説教と親子喧嘩)することになってしまいます。
まずは、何ができて、何ができなかったかを分析して、改善すべき問題点に優先順位をつけて取り組んでいくことが大切です。
Q3.睡眠時間を削って学習することは効果的ですか?
A.効果的とは言えません。睡眠時間をちゃんと取ることは学習効果をあげます。
寝不足で学校でもぼんやりしてしまったり、授業で眠ってしまっていませんか?もしそれであれば、睡眠時間を見直したほうがいいかもしれません。たしかに中学受験において夜の10時に寝て8時間睡眠を毎日確保しています、というのは珍しいかもしれません。しかし、睡眠不足にはいろいろな弊害があります。
子どもの生活時間の夜型化や睡眠時間の減少は、成長の遅れ・注意や集中力の低下・眠気・易疲労感などをもたらします。
e-ヘルスネット > 休養・こころの健康 > 睡眠と健康 > 睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響
私の指導してきた経験ですと、成績がよい受験生は12時辺りまで起きて学習している、ということは少ないです。
逆になかなか成果が出ない生徒は、あまり寝ていないことがあります。それが睡眠不足で学習のパフォーマンスが下がっているからなのか、あるいは親の手前遅くまで学習をすることで「頑張っている自分」を見せて、叱責を避けるための言い訳的な学習をするためなのか、そのどちらもなのか。それはわかりませんが、おうちの人も何らかの理由で深夜までの学習を変えられないでいることが多いです。
夜遅くまで学習しているのに成果が出ていない場合は、睡眠時間を見直す必要があります。
睡眠以外にも、食事や運動も勉強の効果を上げるためには大切な要素です。生活面からも受験勉強をしっかりサポートするための情報獲得が大切になってきます。
(参考:文部科学省 > 見てみよう > 教育 > 「早寝(ね)早起き朝ごはん」って知ってるかな?)
(参考:スポーツ庁>運動ができるようになると、アタマもよくなる!? 専門家に聞く!子供の能力を引き出すためのメソッド)
生活全般を見直し学習効果を最大化しましょう。
Q4.テストでは点数をみて評価しますか?
A.間違えた問題を分析してから評価しましょう。
中学受験は、受験日の得点で合否が決まります。その日が来るまで、間違えた問題は改善へのヒントです。まず、これをきちんと知った上で、「点数」だけで評価するのではなく、以下の点に気をつけてお子様自身が「問題点の分析」をして、「どう対策していくか」を考えられるようにしてあげることが大切です。
- どの問題ができていて、どの問題ができていないか(問題の難易度)
- 時間配分はどうだったか
- 問題用紙への書き込みから正しい手順で答えを得ようとしているか
子どもたちは、おうちの人から、悪い結果に対して点数だけ見て「だめだね」と一面的に評価されることで、より一層学習へのモチベーションが下げてしまう恐れがあります。あるいは慣れっこになってしまって悪い点数をみて、そこで思考停止してしまい、お子様自身が問題点を発見しようと分析しなくなってしまうかもしれません。
もしお子様が自分でテスト結果を分析や、その後の対策をできない場合、まずはおうちの人が一緒に内容を分析して、改善をするための対策を考えていくことが大切です。そして、塾へも相談しましょう。
うまく行かない場合は塾へ相談しましょう!
Q5.教科書の大事なところはしっかりマーカーを引いていますか?
A.あまり効果はないそうです。
私たちのほとんどが「効果的」と信じて行っている勉強メソッドに、テキストやノートに使用する「マーカー」「アンダーライン」がある。テスト前になると、極彩色のペンを使ってテキストやノートを鮮やかに色づけした経験のある人も多いはずだ。だがDaiGo氏によると、この2つは「使えない、ただの気休めでしかない勉強法」だという。ここで、その理由を説明しよう。
livedoor news ノートにアンダーラインは時間のムダか DaiGoが指南する勉強法
認知心理学や脳科学といった言葉を聞かれることはありますでしょうか?
近年、「勉強法」というタイトル書籍が多く出版されています。それらの多くが、さまざまな研究に基づき効果的な勉強法、そうでない勉強法を伝えています。ここで大切なのは、親側が昔の勉強法に基づいてみているだけではなく、きちんと現在発表されている科学的に正しい学習法を知ることです。そこから、よりお子様の状況にあっているものを取捨選択して実践していくことです。以下は近年よく見かける学習法です。
- アウトプット中心の学習がよい(参考:https://studyhacker.net/interview/shion-kabasawa-brain-01)
- ポモドーロ・テクニックを利用する(参考:https://www.takeda.tv/ashiya/blog/post-136324/)
- 科学的に正しい学習法の情報から取捨選択する(参考:https://studyhacker.net/scientific-study-method5)
ブログなどの個人の経験に基づく学習法ではなく、科学的根拠に基づいた書籍からの情報をもとに、新しい学習法を学んで、お子様の学習へ落とし込んでいくのが良いと思います。
ためしに、アマゾンで「学習法・勉強法」と検索してみてください。その中から1冊でも読んでみると今と昔の学習法の違いを知り、お子様の学習をより効果的にしていくことができると思います。